あらの(一人)麻雀研究所

麻雀界について思うこと

現在の日本において、麻雀というゲームは低俗なギャンブルとしか認識されていないのではないかと思う。例えばプロ雀士の社会的地位は将棋、囲碁のプロ棋士と比較しても明らかに低いし、毎晩近所の雀荘に通いつめている人は、周囲の人間からかなり偏見のある見方をされる。

なぜだろうか?

おそらく、多くの人が麻雀をギャンブルとしか考えていないためではないかと思う。確かにパチンコ、パチスロ、競馬、競艇などと同じく、麻雀は賭けの対象として次のような非常に優れた性質を持ち合わせている。

・数時間程度の短時間にそれなりのお金が動く

・適度に複雑であり飽きがこない

・ゲーム自体も楽しく依存性がある

・短期間の収支は実力より運に左右される

特に最後の運に左右されることが多いというのが重要である。この性質のため、多くのギャンブラーは本質的な技術の向上に関して非常に無関心である。お金を賭けて勝負しているのにも関わらず、真剣に考えるという行為を避けることが多い。そして勝負にあまり関係のない、あるいは悪影響のある各々の哲学を持つにいたる。その集大成がいわゆるオカルトである。今日は台番号の末尾が7の台が出るとか、今週の出目から言うと次のレースは2-5の一点で堅い、などということを真剣に信じている人というのは結構存在するものである。

もちろん、ギャンブルに対する考え方は人それぞれであり、どのような賭け方をしようが他人が文句を言う問題ではない。馬が走るのを見るのが好きなだけで馬券は見物料代わり、と言う人や、パチンコ屋で一日遊ばせてもらうのだからいくらか払うのは当然、と考える人もいる。麻雀においても同様に、毎日楽しく打てればそれで満足、という考えや、どうせ運次第なんだから真面目に考えるだけ損、という考え方があって当然であり、それはそれで悪くないと思う。

しかし、麻雀は奥の深い実に楽しいゲームであると私は思う。ただの賭けの道具としてではなく、純粋にゲームとしての麻雀について考察するのは意義深いことである。

麻雀界の現状を見ると日本の麻雀技術のレベルはかなり低いと言わざるをえない。友人同士で打つ麻雀、フリー雀荘の麻雀はおろか、プロの世界にまでオカルトが蔓延しているようである。私はこの現状を非常に残念に思う。

例えば将棋の世界では、何十年か前の棋士達と現在の棋士達を比較すれば、明らかに現在の方が実力は上である。原因としては、コンピュータやネットワークの進歩による情報量の違い、研究による定跡の進歩、将棋の研究への取り組み方の変化、など様々なことが挙げられるが、将棋の技術が全体として向上しているのは確かである。

では麻雀の技術は果たして進歩しているのだろうか?私の見る限りでは、ほとんど変わっていないのではないかと思う。何故だろうか?

原因の1つとして、麻雀界のシステムが挙げられる。

将棋のプロ棋士はすべて日本将棋連盟に所属しており、連盟の定めたルールに従って対局を行う。また将棋の普及もプロ棋士の重要な仕事として認識されており、各種将棋イベントなどが積極的に開催されている。この点において麻雀界はかなり遅れていると言わざるを得ない。プロ団体が乱立し、それぞれが異なったプロ試験を行いプロ認定を行っている。またルールも団体ごと・大会ごとに異なっており団体間の交流も少ないようである。まずは現在のプロが協力しあって麻雀界のシステム作りをする必要があるように思うがどうだろうか。また、現在麻雀プロとして認定されている方はプロ意識をしっかりと持ち、真剣に麻雀技術の向上に取り組んで頂きたい。日本全体の麻雀技術の向上には、プロの技術向上が必要不可欠である。

また麻雀雑誌のレベルの低さも原因の1つとなっているのではないか。

10年程前、パチスロ雑誌の黎明期の頃、やはりオカルト論が蔓延しており、非常にレベルの低い話題に終始していた。しかし近年は、確率統計論が正しく理解され始め、話題の中心はリプレイはずしをはじめとする正しい攻略手法の解説へとシフトしている。これがパチスロ界にとって良いことだったかはわからないが、打ち手の技術が向上したことは間違いない。現在ではきちんと目押しが出来るスロッターが大半であり、目押しが出来ない人たちはパチスロで勝つことはほぼ不可能な状態となっている。この技術向上はパチスロ雑誌による正しい知識の啓蒙によるところが大きいと思う。麻雀界においても、麻雀雑誌が科学的な理論に基づいた有益な記事を数多く掲載してくれることを強く希望する。多くの雀士にとって、麻雀雑誌は数少ない情報源であり、その影響力は決して小さくはないはずである。

いずれにしろ、私は日本の麻雀の技術レベルが向上することを強く望んでいる。そのためにこのページが少しでも貢献できれば幸いである。

 


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