あらの(一人)麻雀研究所

科学する麻雀

科学する麻雀

 

概要

この本は、システマティック麻雀研究所の管理人である「とつげき東北」さんによる、麻雀理論の研究を目指した本です。ネット雀荘「東風荘」で得られた実戦譜をもとに、統計的、論理的な麻雀学の研究を試みています。

これまで、麻雀を対象として本格的に研究を行うということはあまり行われておらず、こういった類の本もほとんどありませんでした。この状況の中で本書を発刊したことは本当に素晴らしいことだと思います。

本書はネットを中心に話題となり、ベストセラーにもなりました。プロ雀士の間でも多少の議論が起こり、麻雀に対する取り組み方にも変化が感じられます。非常に多くの麻雀打ちに影響を与えた本と言えるでしょう。

私も本書は素晴らしいと思いますし、高く評価しています。ただ、ここではそれを踏まえた上で批判的なことを書いています。

 

批判

まずこの本を見て感じたのは、読みづらいという事です。本の内容にはあまり関係のない部分かも知れませんが、本として発売する以上、ある程度体裁を整える必要があると思います。

例えば、図や表です。この本の中には多くの折れ線グラフが出てきますが、Excelで書いたものをそのまま貼り付けた感じで、非常に見づらいグラフになっています。表についても同様に、読者への配慮が足りていないという印象を受けました。プログラムコードなども同様です。

文章に関しても同じように読みづらさを感じます。理論的な矛盾や説明不足などもありますが、ここで指摘しているのは文体です。不必要に難しい言葉が使われていると思われるところが多く見受けられました。

対象とする読者が研究者だけなら問題はないのですが、この本は一般的な麻雀打ちを対象にしているはずです。したがって、もっと簡単な表現での説明を行うべきで、その意味ではバランスの悪いものになってしまっています。

次に内容に関してです。

著者としては、自分の行った研究をもとにして、麻雀全般の理論化を目指していると思われるのですが、取り上げている内容が偏っていて、全体としてみると非常にアンバランスな印象を受けました。

趣味としての研究であれば、自分の興味のあるところや、理論化が簡単なところを中心に調べていればよいのですが、こういう形で発表する以上、ある程度系統的にまとめる必要があります。しかしこの本では、話の流れが非常に混沌としており、とても及第点を与えることは出来ません。

また、全体的に説明不足です。研究の結果を示す以上、その前提とした条件や解析の方法を説明するのは義務であると言えます。それを示すことなく結果だけ書いたとしても、その理論にはたいした説得力はありません。どういった事情かは分かりませんが、このあたりの詳細な記述がないのは非常に残念です。

矛盾や理論的な間違いについても、少なからず含まれています。しかし、麻雀学という分野がまだまだ未発達なものであり、この点についてはある程度許容されるべきであると思います。読者の方で、書かれていることが正しいのか誤っているのかを判断していけば良いのでしょう。

 

著者について

東風荘の有名人「とつげき東北」氏

この本の続編として、超・入門 科学する麻雀が発売されている。

 


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