あらの(一人)麻雀研究所

総合期待値計算2

期待値計算の難しさ

総合期待値計算のページで、個々の事象が起こる確率を推定することによって期待値計算が可能である、ということを書きました。

たしかにそれはそうなのですが、麻雀というゲームはそれほど単純ではなく、実際には信用するに足る精度で期待値を求めることはかなり困難であると言わざるをえません。ここでは、麻雀の期待値計算においてネックとなるのは何か、つまり何が難しくて計算ができないのかを考えます。

 

確率の推定

結論から言えば、計算がもっとも難しいのは相手の戦略によって数値が変わってくる要素です。例えばリーチをかける場合であれば、

  • 自分のツモ和了
  • 自分のロン和了
  • 相手のツモ和了
  • 相手のロン和了
  • 流局

というように、考えられるすべてのパターンについてその確率を求める必要があります。しかし例えば、ロン和了の確率は相手の捨て牌に依存します。つまり相手が和了牌を捨ててくれない限りはあがることが出来ないということです。期待値を正確に求めるためには、この確率を推測する必要があるわけですが、これはかなり困難であると言えます。

同様に相手の和了についても正確な推算は困難ですし、流局の確率も相手の戦略によって変わってきます。

唯一自分のツモ和了については、相手の戦略にあまり影響されずに、それなりに精度の高い推算が可能であると言えるでしょう。したがって、自分のツモ和了のみを考慮した期待値計算が現実的な方針となります。

 

得点の推定

上記で得られた確率に、その事象が起こったときの得点をかければ期待値となります。しかし、この得点についても実は推算が難しいのです。

まず一番簡単なオーラスのケースですが、これは総合期待値計算のページで例をあげたように、評価基準を決めてしまえば計算が可能です。例えばウマが1・3で25,000点持ちだとすれば、一位から四位まで順に50,10,-10,-30として、これに素点を加味すれば得点となります。

しかし、オーラスではなく、東一局だったらどうでしょう。この段階でトップになったからといって、そのことに+50の価値があるとは言えません。何か適当な係数をかけてやることが必要になってきます。この適当な数値を解析的に導くことは不可能なので、シミュレーションや統計から推算する他はありません。

 

鳴きの考慮

以上は面前でかつ聴牌の場合の話ですが、これに鳴きがからんでくると推算精度はさらに悪くなります。ロン和了と同様に、ポン・チーの可能性も相手の捨て牌に依存するからです。

 

総合期待値計算のまとめ

以上のように、最終的な総合得点を指標とした期待値計算にはかなりの不確定要素が入り込みます。これでは正確な判断をすることが出来ません。そこでこのサイトでは、相手の戦略にあまり影響されない要素、つまり自分のツモのみによって期待値が求まる要素を用いた期待値計算を主な評価基準と考えます。この期待値のことをここでは「面前得点期待値」と呼びます。鳴きを考慮しない牌効率とほぼ同義と考えていいでしょう。

ウマ・オカや相手の戦略については、この面前得点期待値に補正を施すことで対処することになります。


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