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プロの条件 荒正義

荒正義の麻雀 プロの条件

総評

簡単に言ってしまえば、この本はオカルト本です。

ツキがどうとか、運の流れがどうとか、そういうことが延々と書かれています。したがって、オカルトなんて信じないし自分には関係ない、という人にとっては読む価値のない本でしょう。

運の流れというものを頭から肯定しており、「運を仕上げる」とか「アガリを透視 する」とか言った表現が随所にちりばめられています。どのくらいかというと、普段本を読むときには、たとえ面白いギャグマンガであろうとニコリともしないこの私が、思わず吹き出してしまうほどです。

本当にもう、笑わせようと思って書いているとしか思えません。いやむしろ、そうであって欲しい、とさえ思いました。

そのくらいオカルト全開です。

本文のスタイルとしては、手牌をいくつか示し、こういうときにはこう考えてこう打つのが良いとか悪いとか、そういう話です。それに加えてコラムとかエッセイがちょっと多めに入っているという構成。

文章自体はそれほど論理的ではないものの、読みづらいという程でもありません。また、ところどころ不必要に文学的になっていたりしますが、特に問題になるレベルではないように思います。

ただ私の見る限り、矛盾する記述が結構な数ありましたので、それほど気合いを入れて書いた本でもない様子です。話の内容も、思いついた事を羅列したような感じで、特にストーリーはありません。

それから、オカルト本なので当然ですが、ウソがいっぱい混じっています。ウソかどうかの判断が自分で出来る人はいいですが、人の意見に流されやすい人は読まない方がいいでしょう。そういう意味では上級者向けの本だと言えます。

 

この本を読む価値

オカルト本ということで、麻雀の理論や戦術の面で得るものは特になかったのですが、それでもこの本を読んで良かったなと思うことはありました。

ひとつは現役のプロの人たちの考え方を再認識できたことです。麻雀プロの全員がオカルトだとは思っていませんが、それでもかなりの割合でオカルト信者がいるという状況は変わっていないようです。

この本の記述によると荒プロは、「現役最強とも言われている本格派」だそうです。一体どこが本格的なのでしょうね。まあ何はともあれ、こういった考え方の人が本格派と言われ、そしてそれなりの結果を出しているのが麻雀プロの世界ということです。

それから逆説的ですが、一人麻雀の重要性という点に関しては自信を深めることができました。

麻雀にとって重要なのは期待値計算であるというのが私の主張です。期待値を最大化するというアプローチで、麻雀のほとんどの問題は片付くという風に思っています。ただ現状では四人麻雀を扱うのは難しいため、一人麻雀という方法で、狭い意味での期待値、つまり面前得点期待値のみを対象にしているわけです。そして実際に計算してみた印象として、この狭い意味での期待値計算のレベルでも、人によってかなり違いが出るという風に感じています。

したがって、もし荒プロが安定的に他のプロよりも良い成績を残しているのであれば、それは期待値が高くなるような打ち方を身につけているから、という仮説が設定出来るのではないかと思います。

この本で述べているのは主に押し引き、駆け引きといった、一人麻雀では扱っていない領域の話です。そしてその理論は、運の流れを予測するといったオカルト的な考えに基づいた、かなり無茶苦茶なものです。それでも荒プロが強いというのであれば、そういった押し引きの部分が勝負に与える影響というのは実は少なく、牌効率の部分で勝負がついているのではないか、ということです。

 

脱デジタル

本の後ろの方に脱デジタルという章があって、そこに長村大プロのようなデジタルと言われる人たちとの研究会の話が書いてあったのですが、ここは興味深かったです。

一気通貫か三色かという一向聴の手牌から九万を切るか五筒を切るかという問題。荒プロとしては絶対に九万が得という意見で、「やさし過ぎる問題を出したことに後悔していた」とまで書いています。それに対してデジタル派の若手プロが五筒を切ると主張したという話です。

気になったので一人麻雀練習機で期待値を計算してみると、8,476点と8,276点です。一応3%弱の差がありますが、これは有意なものではありません。つまり、どっちを切ってもいいという局面なのです。

そうすると、荒プロの「やさし過ぎる問題」という感覚がそもそも間違っていることになります。またデジタル派の方にしても正解とは言えません。

期待値計算能力が優れていると思われるプロでも、精度としてはこの程度なのかな、という言い方も出来ます。ただ実戦的にはこのふたつの選択肢のどちらを切っても問題ないわけで、そういう意味では両者とも正解であるという言い方も出来ます。

ようするに、トッププロと言われる人であっても、そこまで正確な計算は実は出来ていなくて、なんとなく感覚とか思いこみで打っている、ということです。そして、そこの部分の差が成績にあらわれているのに、それを押し引きの技術や運の仕上げ方(?)の違いだという風に勘違いしてしまっている、ということです。

 

さいごに

昔からよくあるオカルト本という認識でいいでしょう。

荒プロの麻雀に対する考え方を知りたい方は必読です!

タイトルが「プロの条件」となっているので、どの辺が条件なんだろうと考えてみたところ思い当りました。

こういう非科学的なオカルト理論をネタにして、もっともらしい麻雀の戦術書を書き上げるという技術。これが麻雀プロとしてやっていく条件なのでしょう。

 

著者について

日本プロ麻雀連盟A1リーグ所属、九段

新人王、王位、最強位、鳳凰位などを獲っている強い先生らしいです

 

荒プロの他の著作

麻雀・ひと目の手筋

荒正義・実戦三十番

リスキー エッジ 1 (1)

 

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